日本人であることをルーツに、和の文化を遊び心あるインスピレーションでゲストを魅了するフレンチレストラン。料理のクォリティーに厳しい目を持ち、妥協を許さない銀座の食通達にもその名は知られ、オープンして3年になる、「レストラン
ナルカミ」。料理は、『メゾン・ド・トロワグロ』のシェフ・ド・ポワソン(魚部門の料理長)をはじめフランスの二つ星・三ツ星レストランで体得したテクニックをベースにしながら、独自の遊びの美学を皿の上に表現する。 |
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オープンされて3年になるそうですが、その間の客層の変化と自分自身の変化についてお聞きしたいと思います。 |
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鳴神 |
色々な層のお客様が来店されていますが、現在は比較的男性のお客様が多く、週末は女性のお客様が多いですね。開店当初は自分も肩に力が入っていた気がしますが、近頃はその力も少し抜けて自然体に「面白い料理を出せればいい!」と思うようになりました。そのせいかお客様もそんな「面白さ」を求めて来店される方が増えてきた気がします。銀座という土地柄の文化もあり、そういう意味で我々からみても楽しみ方を知っている面白いお客様が目立ちます。私は兵庫県の赤穂市の出身ですが、そこをルーツとした自分自身の料理を自然に表現していければ、今は充分そういうお客様にも私の料理を理解していただけると実感しています。 |
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鳴神さんがフランス料理人志された動機と料理作りのベースとなっているものは何でしょうか。 |
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鳴神 |
お客様を楽しませて、幸せな気持ちにさせるフランス料理の個性と奥深さに惹かれました。それと当時の三国さん、平松さんの料理にパワーと憧憬を感じてフランス料理人を志しました。自分としては時代と共に料理は進化していくものだと思います。その時の自分の「閃き」や「発想」でベースとなった料理が完成度を増し、進化を続ける。その概念はトロワグロからの影響といえるでしょう。でも最近、家族3世代で一つのスペシャリティを受け継いだレストランを贔屓にしているお客様の話を伺った時、レストランを営む使命と、自分もそういうスペシャリティを未来に残したいという気持ちになりました。 |
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フランスでの経験で得た事と、今後の鳴神さんの料理人としての進化の方向性とは。 |
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鳴神 |
私がフランスへ渡ったのは10年程前で、当時は既にフランスの情報が充分にありました。ですから20年、30年前に行かれた方達とは違ってあまりギャップは感じませんでしたね。ただ言えることはフランスの方が料理人として仕事はやりやすかったと思います。自分が日本人であったことでしがらみがなかったことも有りますが、料理文化の違いや職場環境の良さ、フランス人は自分自身を大切しているからだと思うのですが、レストランで働く料理人達がとても紳士的で意識も技術レべルも高い。当時は日本へ帰りたくはないと思っていました。今後は料理人として何かを造りそして残していきたいです。しかしグランメゾンや多店舗化していこうとは考えていません。大きくなくてもきちんと人材を育成できて独立していける、スタッフ各々が力を発揮できる小さくても良い組織を構築していきたいと思っています。 |
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随所に本質をとらえた考え方が印象的でした。今後のご活躍を期待しております。 |