日本におけるフランス料理もクラッシックな料理から、食材や顧客層の変化によって「現代風フランス料理」というカテゴリーが登場し、ソースに対するニーズも徐々に変化を遂げている。そんな中で、伝統を踏まえた「本質」の大切さも、フランス料理のベースには欠かせない。
今回は日本のフランス料理界を代表する、ソース作りの名人といわれるヴァンサン オーナーシェフ城 悦男氏にお話を伺った。 |
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── フランス料理におけるソースの役割と、素材が変化する中でも変わらないソース作りの哲学についてお聞きします。 |
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城 |
肉にしても魚にしても、その食材を触ったり、切ったりしながらソースを仕上げることが重要で、それが私のソース作りの原点ですね。食材はいつも同じコンディションではないし、季節によっても食材は変化するのです。この時期に美味しい食材の産地や鮮度を見分ける能力も不可欠。調理後には時間経過とともに肉料理等はどうしてもパサツいてくるもの、従ってソースはできるだけ滑らかに仕上げるように心がけるとか。そういう意味でも食材の性質を知ることが重要でしょう。 |
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── ソース自体をただ軽く仕上げる(健康志向等から)傾向に対して、どのように感じていますか。 |
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城 |
時代とともに食材自体がかなり質が良くなってきているし、食材の持ち味を活かすためにソースを軽く仕上げることは、間違いではないと思います。ただ短絡的にバターよりオリーブオイルの方が必ずしもヘルシーというわけではなくて、むしろ消化はバターのほうが良いし、鉄分もカルシュウムもバターのほうが多く含まれています。そういう知識も素材の特長を知るということです。ですから時代の流れだから、ソースを軽くするのではなく、ソース自体の深みと香りを食材とマッチさせるための知恵と知識が必要ですね。 |
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